顔汗がひどいと、なにかの病気のせいじゃないかしら?
と気になることがあるでしょう。
全身性の多汗でないときは、それほど大きな病気が隠れていることは少ないかもしれませんが、そうでないことを確かめるためにも、早めに病院を受診しましょう。
顔汗がひどいのは病気のせい
顔汗のひどい原因が他の病気にないものは、原発性顔面多汗症といいます。
一方、他の病気や障害が原因で多量の顔汗が出るものは続発性多汗症といいます。
顔汗を抑えることより先に、まず原因となっている病気や障害の治療が先決です。
顔などの特定の場所が多汗になる続発性局所多汗症の原因となる病気は
脳梗塞,末梢神経障害,中枢または末梢神経障害による無汗からおこる他部位での代償性発汗(脳梗塞,脊椎損傷,神経障害,Ross syndrome)
Frey 症候群,gustatory sweating,エクリン母斑,不安障害,片側性局所性多汗(例:神経障害,腫瘍)
となっています。
いろいろあるな~、という印象を受けるかもしれませんが、ほとんどが神経の不調や障害と関係しています。
全身に大汗をかく続発性全身性多汗症の原因となる病気はもっと多様です。
薬剤性,薬物乱用,循環器疾患,呼吸不全,結核などの感染症,悪性腫瘍,内分泌・代謝疾患(甲状腺機能亢進症,低血糖,褐色細胞腫,末端肥大症,カルチノイド腫瘍),神経学的疾患(パーキンソン病)
こちらは疾患の症状のひとつとして、神経への影響が多汗につながるという感じです。
顔だけが異常に汗かきになっている場合、何かの病気が原因というよりも、原発性の局所多汗症であることが多いでしょう。
原発性多汗症は原因が解明されていないのですが、とにかく顔汗が大変なことになっている、というものです。
顔汗の治療は薬から
顔汗が原発性顔面多汗症と診断されると、まずは外用薬と内服薬の2つの薬で治療をはじめます。
原発性多汗症の診断は、発汗検査と問診で行います。問診の診断基準は、
原因不明の過剰な発汗が6ヶ月以上続いて、
- 最初の発症が25歳以下
- 対称性に発汗する(左右対称になる)
- 睡眠中には発汗しない
- 1週間に1回以上の多汗のエピソードがある
- 家族に同じ症状のある人がいる
- 日常生活に支障をきたしている
上記6つの項目のうち2つ以上にあてはまる場合です。
外用薬は塩化アルミニウム溶液で、毎晩就寝前に患部に塗って、翌朝洗い流すことをくりかえします。
これによって、汗の出口になる汗孔と毛穴をふさぎます。すると汗腺は、汗を分泌しても外に出せないことがわかってきて、だんだんと活動休止するようになります。
内服薬はプロ・バンサインという薬です。
この薬は、脳からの発汗司令が交感神経から汗腺に伝わるところを妨害して、汗腺に汗を分泌させないようにします。ただし、顔の汗腺だけに作用するわけではないので、全身の汗をとめます。
多汗症は多分に精神的な影響も大きいので、塩化アルミニウムとプロ・バンサインで、汗をかきたくないときにかかないで済むようになると、不安や恐怖が解消して好循環で多汗が治まる可能性もあります。
薬で十分な効果が出るときは、継続して治療すると改善していくでしょう。
なかなかうまくいかない場合は、患者さんと相談のうえ、やはり脳の発汗司令を一定期間妨げるボトックス注射や、発汗司令そのものを遮断する交感神経遮断の手術をすることもあります。
このような治療の流れは、上記で引用した日本皮膚科学会の原発性局所多汗症治療ガイダンス 2015年改訂版に示されています。
参考>>>原発性局所多汗症診療ガイドライン 2015年改訂版
漢方を取り入れているところでは、患者さんの状態に応じて漢方薬を処方することもあります。
漢方療法は日本伝統の医学ですが、ガイドラインのベースになっている西洋医学とは別の体系でできています。多汗症の治療に関わっていると、両方に知識と経験をもつ病院や医師は少なくありません。
漢方があると治療法の幅が広がることは、覚えておくといいこともあると思います。
まとめ
続発性多汗症は、原因になっている疾患の治療が優先されます。元が治れば、多汗の症状も治まる可能性が高いといえます。
一方、他に原因のない原発性の顔面多汗症は、定型的な治療ステップができています。基本的にはこのステップに沿って治療が進められると思います。
ただ、日常生活の中ではもう少しなんとかしたい、という希望もあるでしょう。
とくに女性の場合はお化粧をするので、メイクとなじむ方法は重要です。
通勤通学のときに化粧がハゲるとか、しょっちゅうメイク直しさせられるとか、そういう問題の解消についてはこちらの記事に書きましたので、興味のある方はぜひお読み下さい。
関連記事>>>顔汗がひどい 女性
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